睡眠インストラクター橋爪あきのブログ

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zoom RSS 太宰治と夢

<<   作成日時 : 2009/07/05 01:35   >>

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生地 津軽の金木を訪ねました。 その地は生誕百年を迎えてもひっそりとしておりました。

今、桜桃忌も終わって、金木はさぞや、またひっそりと静まり返っていることでしょう。

                  弘前城址から望む夕暮れの岩木山

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金木へ行くには弘前から五所河原へ出て、津軽鉄道に乗ります。

小説「津軽」の頃をいまだに彷彿とさせる・・・・なんといったらいいのでしょう・・・・貧しく寂しく・・・・本州の北のはずれにふさわしい侘しさ・・・・それなのに訪れるものを魅了してやまない何かがあって。


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太宰の生家について夫人の美知子は、もっと素晴らしい家かと思っていたというようなことを書いており、
太宰自身も味も素っ気も無い家とけなしているけれども・・・・たしかに当時の豪邸といえば大門をくぐり、主屋の
玄関まで長々とつづくエントランスの道を通り、車寄があってという具合だったけれども、現代の我々にしてみれば
この商家は十分堂々たる豪邸でございます。


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こんな家に生まれながら、その放埓な生き方から親兄弟の怒りをかって、その存在自体を無視された太宰。
また文壇や周りの人間からも決して理解されることの無かった太宰。
しかし彼の作品には当時から根強いファンがいて、今またブームになっているようです。

彼の作品は、とても女性らしいと私は感じています。そして何よりも正直この上ないのです。
人が心のうちを偽らずに語ろうとするとき、悲しいかな、逆に偽りに満ち、ずるがしこく、自己防衛に長け・・・・
そういういやらしささえ、惜しみなく書き綴るなんという正直さ。

そんな太宰のメンタリテイーを、男子たるものすべからく「肉食系」たることを理想とし、「ボーイズ ビ アンビシャス」だった時代にだれが理解しえたでしょうか。

今、企業で奴隷のごとく酷使されている若者が、あの「蟹工船」を手に取るように、
草食系になった男子はきっと太宰が好きになるでしょう。 もちろん女の子もね。


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     この2階のつきあたりに和室があって、彼のお気に入りのへやだったそうな。 写真撮影に忙しい「凡人」の皆さん。
       


おっと、「夢と太宰じゃなかったのかい?」ですって。  そうそう、そうでしたね。  


さて文士といえば(文士って言葉も死語になったなあ・・・・でも「文士」って好きな言葉だなあ。今は作家なんていうけれど、「〜家」というのは後世の人がその作品の価値が高いことを賞して「家」とつけるべきものだと思うんです・・・。だれもかれも作家なんておこがましいなあ)それで文士は貧乏でだらしなくて、酒とタバコが放せなくて、夜な夜な机に向かって原稿書きに埋没するというイメージがあるでしょう。

太宰なんて、その最たるものという印象ですが・・・・妻の手記によると意外や意外、早起きで、午前中から原稿を書いていたんだって。
        もちろん、夕方からは酒・タバコ時々女のセットなんだけれどもね。
彼は朝型人間だったのかなあ?
夜型だと午前中に原稿は無理でしょうなあ・・・などと思っていたところ、太宰が夢について語った文があるのを発見。

読んでみて驚いた!
太宰の言わんとするところは、睡眠学の諸先生方が「だ、太宰君、き、君こそ僕らの研究を理解できる男だ!」なんて言って、ハグするようなものなんである!

題名は「フォスフォレッセンス」

この語の意味は「燐光」とか「青光り」。しかし、彼はそれを花の名としている。
そんな光を放つ花が夢の中にはでてきそうでもある。


この話は10ページにもならない短いもので、彼の夢の世界について思うことが語られている。

作家が夢の内容を作品の題材にしたり、応用したりするのは昔からあることで、文学に限らず科学の大発明のヒントになったり、美しい音楽の旋律を生み出したりもしています。

幸運にも夢を活用できた人々は、夢に感謝するでしょうね。
                        でも夢は夢であり現実とは一線を画するものだとも考えているでしょうね。

現代人は夢、つまり睡眠中の自分の意識と昼起きているときの意識を分離させているようです。夢の自分がどんなに素晴らしいことをしても、「あれは夢だから」といってかたづけてしまう。
                        夢という、時に荒唐無稽・支離滅裂な映画を一笑する。

だから現代人にとっては、眠りの世界はあきらかに覚醒の世界より下なんです。
夢の中の自分よりも、昼の自分こそ「きりりと覚醒した本当の自分」だと思い込んでいますよね。
だから、よもや、眠りが自分の精神の成長に関わっているなどとは思いもしないのです。

ところが最近の脳科学の研究が、そんな常識を打ち破りました。
夢は睡眠中の脳が活性化している結果起こるもので、それは生存に欠かせない生理作用であることがわかってきたのです。
つまり眠りのもたらす夢は、いかにナンセンスな映画でも、大真面目な必需品だってことです。

私たちは眠りの世界でだた休んでいるのではなく、しっかり生きて成長しているんですね。

お〜、ようやくフォスフォレッセンスに戻って参りましたが、
                                この小説の中で太宰はまさにそのことを言っているのです。

「私はこの世に生きている。しかし、それは私のほんの一部分でしかないのだ。
〜略〜私はこの社会と全く切り離された別の世界で生きている数時間を持っている」



「私にとって、この世の中の現実は眠りの中の夢の連続でもあり、また眠りの中の夢はそのまま私の現実であると考えている」


太宰の時代、今のような睡眠学なるものはなかったし、彼に脳科学の知識があろうはずもないのです。

しかし彼は自分の思考や感性が夢の中でも停止しないことを肌で感じていたのだろうと思います。
普通の人間が一笑に付してしまう夢を彼の生来の繊細さがしっかり捉えて敏感に反応していたのでしょう。

決して、夢のお告げだの夢魔だのと言った迷信的な夢と現実の同一視ではありません。
                       (彼は、なんと当時一番影響力のあったフロイドの説さえ、否定しています)


彼にとって夢の世界は:
「現実とつながりがありながら、本質的に差異のある別個の世界が展開せられているはずである〜
〜あの国で流した涙の方が私にはずっと本当の涙のような気がするのである」



「私は一日8時間づつ眠って夢の中で成長し、老いてきたのだ。つまり私は所謂この世の現実でない、別の世界の現実の中でも育ってきた人間なのである」
太宰は夢の世界が、自分のもうひとつの実在の精神世界であることを感じ、それを笑わなかったのです。

眠りの世界は覚醒の世界と同様に、まさに太宰が言うように、人を育てているのです。

昼間は適当に生きて、何かよいアイデアを夢が与えてくれないかと「夢頼みの作家」がいるかもしれないが
そんな作家の夢にろくなものはないとBBAKは思います・
何故なら昼の精神生活が貧弱なものは夢も貧弱なのだから。


さて、小説の中で主人公は夢から覚めて(起床して)、編集者と夢に現れるある夫人の家をたずねるのだが・・・・
ここのところは私にはまだ夢が続いているのだと思えてなりません。
夢が、いわゆる「入れ子状態に」なっているんじゃないかと。
                        あるいは二度寝の浅い夢なのかもしれないし、*明晰夢かもしれません。


その理由は、編集者がその家に飾られていた花の名をたずねたとき、女中が
                                           フォスフォレッセンスと答えるのですが・・・
この「フォスフォレッセンス」という響きが夢特有の何か象徴的に発せられる音の甘美さを伴うからです。

フォスフォレッセンス〈fosfo-ressen-su〉・・・・夢の中で発せられる意味深な一言、その何と甘美な響き!

みなさんも、起きてからも忘れられない夢の中のことばというものがありませんか?
それは単なるユメなのではなく、あなたのもう一つの世界のことばに違いありません。


太宰は悩めども、
真面目に働く人々の姿はうるわしいですよね。 メロス号の運転士さんたち。
             「よろしくお願いッス!」      画像      


太宰の映画が上映されていますね。
長編もいいけれど、彼の短編を読んでみてください。


















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