20年もかけて完成した戯曲 チリという国の出来事を知っていますか?

これは、重かったです。 (いつも、グータラで昼寝ばっかのばーば・アキには・・)
しかし、感動しました! 最後の場面は泣きました。

A・ドーフマンと言うチリの劇作家の「谷間の女たち」という作品を「双の会」が上演したものです。
                               *演出:菊池一浩  脚色:高橋耕次郎

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この戯曲はチリの軍事政権下で、男たちを連れ去られた女たちの抵抗を描いた物語で、
実話を下敷きに、なんと20年の歳月を費やして推敲に推敲を重ね完成させたものだそうです。


「チリ」といえば、南米の細長ーい国だよね、それでチリワインがおいしくて・・・・
           日本人には、そのぐらいの認識しかない国じゃないかな。 (バーバ・アキもそうでした)

が、チリでは1973年9月11日 (9・11はいやな日!)
軍事クーデターがおこり、
89年12月自由政権が誕生するまで、16年間の軍部の圧制が続いていたのです。

そういえば、軍事政権の首謀者、ピノチェト将軍の名は何となく記憶にあったけれど・・・・。

クーデターが起こる前、チリは議会制民主主義が行われていたのにもかかわらず、
国はあっという間に軍事政権に奪われてしまったのです。


軍事政権の怖ろしさは、今の日本人には全くわからないかもしれませんね。

けれど、ミャンマーや北朝鮮、イラクのことを思えば、少しは想像がつくかもしれない。
そして、軍事政権と言うのは遅れた国の遅れた政治体制(我が日本の帝国主義時代のように)だと
簡単に考えてしまうかもしれませんね。

けれども、チリのケースを見ると、


軍事政権への転換はいつでも起こりうる、明日の日本だって例外ではない、
また、民主主義国であっても、裏では何をしでかしているのかわからない


といった疑念を抱くに十分です。


この戯曲で描かれるのは、ひとつに変容していく人間の意識です。

武力統制下では統制するものも、されるものも、同様に人間性を剥奪されていく・・・

武力統制というものは、必ず 「相手への不信」 というものを土台としていることを
忘れてはいけないとバーバ・アキは思います。

物語では、軍人同士が疑心暗鬼に陥り、自己保身をはかるうちに、正気を失っていく様が
見事に描かれています。


そして、もうひとつには、悪政の影に常に富を握る者たちがいることです。

己の財産と利権を守るために平然と軍と手を組み、軍人たちをコントロールさえする大地主。


犠牲者はいつも、何も知らない民の中から選ばれます。


しかし、一番の犠牲者でありながら、この話の中の「谷間の女たち」だけは正気を保った。
限りない家族への愛がゆえに・・・・。


うーん、今回のBBAK(バーバ・アキ略)は真剣です!
もっと、語りたいけれど、あまり筋書きを言わないほうがいいかもしれない。



画像    でも、出しだけ・・・
            河のほとり、貧しい谷間の村に新しい軍隊長が赴任してくる。

            村に向かう途中、彼は川べりで座り込んでいる老女を見る。

            老女は、何者かに連れ去られたまま戻らない父と夫と息子たちの帰りを
            待っているのだと言う。

 
谷間の女たち 新潮社

                        ある日、河にひとつの顔のない死体が流れてきた。



          そして最後には・・・ 老女とその孫が銃殺されたのを知った女たちは
                       皆、愛する男たちの使っていた椅子を河原に持ち寄り、それに火を放った。
 


この女たちの行為が何を意味するのか、それが分かったとき、BBAKは胸が痛くなると同時に
武者震いしてきて、どっと涙が出たものです。


それにしても、この戯曲は現実を下敷きにしつつ、
普遍的なテーマとシンボライズされたメッセージを我々に投げかけています。

セリフの一節を書きます。(点線部は略)



河の水は知っている・・・・・光も届かぬ深みから、記憶と苦しみ、水がおまえたちの物語をはこぶ
・・・・物語が多すぎて・・・・だからひとつだけ(物語を)返してくれた・・・
この屍をだれのからだにもなれるよう、どんな死体にもなれるよう・・・



話し方を覚えなきゃ、話さなくちゃだめよ・・・話してくれって叫んでいる物語がいっぱいあるんだもの・・・
たとえ言葉がなくたって物語は皮膚から自然にしみ出てくるの・・・・
風がその物語を運んでくれる・・・
どんなに寂しい場所からだって、皆が聞いてやろうって耳を澄ましている場所まで。   
   
    


今、一段とキナ臭さの増した世界情勢・・・重い内容ではありますが、この戯曲を読んでみてはいかがでしょう。

そして、また上演されることがあれば、是非観ていただきたいです。

隊長役の高橋氏、老女役の後藤氏の名演と谷間の女たち諸氏の熱演に大拍手!  


「マンザナ 我が町」 井上ひさし の講演についても見てください。
http://bl-bahba-aki.at.webry.info/200812/article_1.html


    

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