オーガニック シアター 「マンザナ わが町」を観て

「谷間の女たち」(このブログで書いたよ)を観たときにもらったチラシに井上ひさしの戯曲「マンザナ わが町」があった。

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太平洋戦争中のカリフォルニアのマンザナ。
そこに日本人収容所が設けられて・・・・収容された5人の女たち・・・・初めて顔を合わす間柄なのに、
収容所長に収容者の為に劇を演ずるように命じられて・・・という話。

今の若者の中には日本がアメリカと戦争をしたことすら知らない人がいる。
      情けないことだけれども・・・・・思ってみれば、あの戦争が世界戦争で、
      そんじょそこらの戦争(不謹慎な言い方ですが)とはちがうことを強調しても、すでに60年も昔のこと。

      バーバアキが子供の頃に祖母から日露戦争の話を聞かされても、トーイトーイ昔話として
      大脳が「日本昔話集」に収録しておしまいでしたから、そんなことなのかもしれません。
  
でもでも、さすがにあの大戦はやっぱり違う。
      あれを過去の出来事として葬ってしまったら、人類に未来はありませんよね。


おっと話を戻せば・・・・偶然、この上演日がラジオの放送日の2,3日あとだったので、
広報を兼ねて番組にお呼びすることができました。

現れたのは演出の菅田さん (とても知的で控えめだけど確固とした信念のある方という印象)
       演者の桜庭さん (天性の明るさのあるユニークなキャラの方、音楽もなさるとか)
       演者の吉澤さん (役者の卵さん。でも将来大型女優になりそうな気配の方)

番組では、話のあらすじや演技のことなどについて伺いましたが、はじめ緊張気味だった3人も
だんだん打ち解けて、とってもいい感じにインタビューすることができました。

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さて、ひさしが思う戦争の原因は結局、人間同士の相互理解の不足ということでしょう。
     
     戦争の犠牲者たるこのマンザナの5人の女の間にさえ、無理解や偏見が諍いをまねきます。
     同じ在米日本人と言っても日系一世と二世では考え方がちがい、育ちが違えばものの捉え方も違う。
     
     しかし、初めは仲間割れしていた彼女らも、次第に障害を乗り越えて、
     劇の上演と言う一つの目的に向かって団結していきます。

     5人の団結へ向けての中心人物となるのが、ソフィアという冷静で聡明な女性。
     彼女は大統領に日本人収容政策の非道さに抗議する手紙を送りつける勇気も持ち合わせている。

     ソフイアの語ることばはひさしの思いを代弁します。
     この中では、人間のアイデンティティーと言う問題も提起されています。


私が印象的だったのは、興奮したソフィアが「(私は)正気でいたいだけなんです」というセリフ。
ここは今回の演出では、目立ったふうではなく、劇の流れの中に聞き逃してしまう人も多かったかもしれない。

私はつくづく思います。

人々が正気を失っていくことほど怖いことは無い。
差別や無理解はいつの世にもなくなることはないかもしれないが、みなが正気をたもっている間は弾圧や戦争は
                                                        防ぐことができる。

けれども、残念なことに支配者たるものは人々の正気を狂気に変えて行くことに長けている。
その巧みな操作に人々はどれだけだまされ続けたことでしょう。

そして最後には、支配者自身も無意識のうちにおのれを狂気の淵に追いやっていくのです。

戦争は一つの結果に過ぎません。

     こういう精神の変容こそ、本当の恐ろしさなのでしょう。
                  それは「谷間の女たち」でも見事に表現されていました

そこに至る変容の兆しを、我々一人ひとりがキャッチする聡明さと理性を持たなければいけないのですね。


  さて、オーガニックシアター5人の女優たちの演技やいかに?

このシアターは常時団員がいるのでなく、ワークショップ形式で演者を募るのだそうです。
                            そんなやり方なら、毎回個性が違って楽しめるかもしれませんね~。

これが、まあ、おどろいたことにキャステイングがはまりすぎていて、今でも実話だとしか思えないほどです
               
               特に桜庭さんのチャンポン語(日米)を使うへんてこな手品師助手
               森内さんの日系一世女浪曲師   *彼女は谷間の女でもあったのだ!
とても笑わせてもらったけれど、ここが大根だったら、ひさしの作品にならないのだから、大成功です。



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当てて下さい。 変な手品師助手は?  歌手は?   女優は?   浪曲師は?  インテリのソフィアは?
          残りが演出の菅田さん      *正解はお任せします


それにしても長丁場でセリフの多いこと。
けれど、一刻もあきることなく観させてもらたのは皆さんの熱意が伝わったからだと思います。

      千秋楽後は皆さん、のびてしまったのではないかな?

マンザナについては色々な劇団が上演していますし、オーガニックシアターでは今後も様々な演目が続きますから
是非見に行って下さい。 オーガニックシアターで検索してみてね。


さて、戦後すぐ、アメリカに渡った女性、つまり日系人以後の在米日本人にとっては
もう、敵国民ではなったというものの、アイデンテイテイーの問題は一層深くなってくると思われます。

そんな観点から、おすすめする小説を・・・・かなり前の作品ですが・・・・

           芥川賞受賞作品  「ベティさんの庭」  山本道子著

お暇な方は読んでみてくださいね。

                
               
「谷間の女たち」 の上演についても読んでみて下さい。                                   
http://bl-bahba-aki.at.webry.info/200809/article_3.html




この記事へのコメント

リリアン
2008年12月04日 21:37
菅田さんから橋爪さんのブログのお知らせをいただき、さっそく遊びにきました。リリアンを演じさせていただきました、梶山明子です。実は・・・Fm西東京でパーソナリティーとして活躍しているあっきーとは同じサークルでした(*^_^*)
こんなにも、「マンザナ、わが町」を取り上げていただき、本当に感謝しています。流されそうになりがちな今日ですが、やはり私たちは、お互いを理解し合い、また理解し合おうという姿勢から逃れてはいけませんよね。
先日、「太鼓たたいて、笛ふいて」を観に行きました。マンザナで学んだ色々な思いが込み上がって、涙が止まりませんでした。橋爪さんお薦めの本も読んでみますね! 
ジョイスです。
2008年12月05日 21:38
こんばんは。
菅田サンから連絡を頂きました。

公演が終わってからも、暖かいコメントを本当にありがとうございます!!

心に残る事はとても嬉しくて、幸せな事です。
でもそれだけ作品がすばらいんだと思いました。

ジョイスは気配だけでなく、本物の大女優になれるように努めたいと思っております!!


本当にありがとうございます。
kae
2008年12月07日 01:50
「マンザナ、わが町」の記事を書いてくださり、どうもありがとうございます。
ブログのお知らせをいただき、すぐに読んだものの、その時は稽古に行く直前だったので、コメントも出来ずに数日が経ってしまいました。
ごめんなさい。

過日は「マンザナ、わが町」のメンバーをFM西東京の番組に呼んでくださり、誠にありがとうございました。
非常にいい経験になりましたし、とっても楽しかったです。

それに終演後に話して、今回の公演で2~3人に伝わったらいいなぁ~と思ってことが、橋爪さんにばっちりと伝わっていたと知り、驚きと共に嬉しかったです。

今回の公演を通して、出演者5人の成長を見ることが出来たのは、非常にいい経験になりました。
5人に負けないくらい私も成長出来るようがんばりますっ!
バーバアキ
2008年12月19日 12:03
オーガニックのお三方、コメントありがとう!
また芝居を見に行くから、チラシを送って下さいよー。
ルージュ
2009年01月21日 16:39
「マンザナ、わが町」を演出した菅田華絵さんのことを検索していて、たどりつきました。
楽しい舞台だったけれど、考えさせられるものがあって、よかったです。
しかも、こんな面白い写真を発見して、嬉しい!
バーバ・アキ
2009年01月21日 23:37
ルージュ様、みんなとてもいいメンバーでしたよ。サービスで「いいお顔」もしてくださったし。また覗いて見てくださいね!

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